日産 ティアナ J31 230JK|くつろぎを、連れてゆく。

2003年に登場した初代・日産ティアナ J31。
それまでの高級セダンが持っていた「威厳」や「豪華さ」とは少し違い、ティアナが打ち出したのは、乗っている時間そのものを心地よくするという新しい考え方でした。
キーワードは、「クルマにモダンリビングの考え方。」
やわらかなデザイン、明るく落ち着いた室内、ゆったりとした乗り味。まるで自宅のリビングでくつろぐような空間を、クルマの中に持ち込もうとしたセダンです。
今回は、2003年式 日産 ティアナ J31 230JKを、造形浪漫帖のイラストとともに振り返っていきます。
クルマにモダンリビングの考え方。

初代ティアナを語るうえで外せないのが、「クルマにモダンリビングの考え方。」というコンセプトです。
速さやスポーティさを前面に押し出すのではなく、乗る人がゆったりと過ごせることを大切にしたティアナ。
クルマを単なる移動手段としてではなく、もうひとつの居住空間として考える。その発想が、外観からインテリアまで一貫して表現されています。
2003年当時としては、かなり個性的な高級セダンのあり方でした。
やわらかな上質感を持つエクステリア

ティアナの外観は、威圧感よりも親しみやすさを感じさせるデザインです。
大きなヘッドライトと横基調のフロントグリル、丸みを帯びたボディラインによって、落ち着いた表情にまとめられています。
横から見ると、伸びやかなルーフラインとセダンらしいゆったりしたプロポーションが印象的。
リアまわりも派手さを抑え、全体的に上品で穏やかな雰囲気に仕上げられています。
目立ちすぎないけれど、安っぽくも見えない。
この絶妙なバランスが、初代ティアナらしい魅力です。
まるで部屋のようなインテリア

ティアナの個性がもっとも強く表れているのが、インテリアです。
ベージュを基調にした明るい室内に、木目調パネルを大きく取り入れたインパネ。
センター部分を縦方向にまとめたデザインも特徴的で、当時の国産セダンの中でも独特の雰囲気を持っています。
豪華さを見せつけるというより、家具の置かれた部屋のように落ち着ける空間。
シートに座ると、「さあ走ろう」というよりも、「ゆっくり行こう」と思わせてくれるような室内です。
まさに、ティアナが掲げたモダンリビングという考え方を象徴する部分といえるでしょう。
見やすいメーターとV6 2.3Lエンジン

メーターはシンプルで見やすい構成。
オレンジ系の照明が使われ、落ち着いたティアナの室内によく似合うデザインとなっています。
230JKには、V型6気筒 2.3Lエンジンを搭載。
刺激的な加速を楽しむためというより、滑らかに、静かに、余裕を持って走るためのエンジンです。
市街地から高速道路まで、アクセルを大きく踏み込まなくても自然に流れへ乗っていける。
ティアナの持つ穏やかな性格に、よく合ったパワーユニットといえます。

移動時間そのものを、くつろぎの時間へ
ティアナが大切にしたのは、運転している時間や移動している時間そのものを快適にすることでした。
広々とした室内、落ち着いた色使い、ゆったり座れるシート。
そして、滑らかな走り。
それぞれが「くつろぎ」というひとつの方向へまとめられています。
当時のセダンには、高級感やスポーティさを強く打ち出したモデルも数多くありました。
その中でティアナは、「日常を少し上質にする」という独自の価値を提案したクルマだったのです。
ティアナが登場した2003年の日本

2003年の日本では、折りたたみ式の携帯電話が当たり前になり、DVDやコンパクトデジタルカメラも身近な存在となっていました。
街ではファッション雑誌を片手に買い物を楽しみ、コンビニのおにぎりやカップ麺も日常の風景。
今振り返ると、アナログな暮らしの中へデジタル機器が急速に入り込んでいった時代でした。
新しいものが次々に登場する一方で、生活の快適さや心地よさも強く求められるようになっていた2003年。
そんな時代に登場したティアナの「モダンリビング」という考え方は、当時の空気にとてもよく合っていたように思えます。
2003年のアメリカへ目を向けると

同じ2003年のアメリカでは、広大なハイウェイやロードサイドのダイナー、テイクアウトコーヒーなどが、日常のドライブ文化を彩っていました。
大都市の高層ビル群から、どこまでも続く一本道まで。
地域によってまったく異なる景色を楽しめるのも、アメリカならではです。
そんな長距離移動の文化を思い浮かべると、ティアナが目指した「快適な移動空間」という考え方にも通じるものがあります。
速く目的地へ到着するだけではなく、移動する時間そのものを楽しむ。
ティアナのモダンリビング思想は、そんなドライブにも似合う考え方でした。
まとめ|くつろぎを形にした初代ティアナ
2003年式 日産 ティアナ J31 230JKは、派手な性能や強烈な個性で目立つタイプのセダンではありません。
しかし、その代わりに追求したのが、乗る人が心地よく過ごせる空間でした。
やわらかな外観、木目とベージュを組み合わせた室内、滑らかなV6エンジン。
そして、「クルマにモダンリビングの考え方。」
今振り返ってみても、このコンセプトはなかなか面白いものです。
くつろぎを、連れてゆく。
初代ティアナは、そんな言葉がよく似合う一台でした。
