日産 エスカルゴ G20|街がおもしろくなる

1989年に登場した日産 エスカルゴ G20。
丸いヘッドライト、大きく湾曲したフロントガラス、そして車名の由来を思わせる丸窓など、一度見たら忘れられないスタイルを持つ個性的なクルマです。
実用車らしいシンプルな構造を基本としながら、街の風景そのものを楽しくしてしまうようなデザインが最大の魅力。「街がおもしろくなる。」という言葉がよく似合う、1980年代の日産らしい遊び心に満ちた一台を見ていきます。
1989年、街に現れたユニークなエスカルゴ

今回紹介するのは、1989年式 日産 エスカルゴ G20のノーマルルーフ仕様。右ハンドルのコンパクトなボディに、商用車らしからぬ愛嬌のあるデザインが組み合わされています。
最大の特徴は、やはりその姿でしょう。丸いヘッドライトに短いノーズ、背の高いボディ、そして側面の丸窓。機能性だけを追い求めるのではなく、「見て楽しい」「使って楽しい」という発想が伝わってきます。
小さなクルマながら、街中に置くだけで風景の主役になってしまう。そんな独特の存在感こそ、エスカルゴならではの魅力です。
丸みを生かした、やさしいエクステリア

横から見ると、エスカルゴの個性はさらに分かりやすくなります。
前方へ大きく広がるフロントガラスと、後方まで高さを保ったルーフライン。直線を中心とした一般的な商用車とは違い、全体を柔らかな曲線でまとめています。
側面後方の丸窓も重要なアクセントです。小さな丸窓ひとつで、実用車のボディがどこか絵本に出てくる乗り物のような表情になります。
正面から見れば丸型ヘッドライトがかわいらしく、後ろ姿はシンプル。どの方向から眺めてもエスカルゴだと分かる、非常に完成度の高いキャラクターデザインです。
シンプルだからこそ印象に残るインテリア

室内も、外観と同じく独特です。
ダッシュボードは必要なものを分かりやすく配置したシンプルな構成。右ハンドル仕様で、操作系もすっきりとまとめられています。
そして目を引くのが、中央付近に配置された大きなメーターです。
速度表示を中心に必要な情報をひとまとめにしたデザインで、余計な装飾はほとんどありません。それでも一般的なクルマとは少し違う雰囲気があり、エスカルゴらしい遊び心を感じさせます。
派手な装備ではなく、見やすさと親しみやすさで印象を残す室内です。
コンパクトなメカニズムもエスカルゴらしい

ボンネットを開けると、エスカルゴの実用車としての一面が見えてきます。
コンパクトなエンジンルームには、街中で扱いやすいクルマとして必要なメカニズムが収められています。豪華さや高性能を前面に押し出したモデルではなく、日常で気軽に付き合えることを大切にしたクルマです。
外観はかなり個性的ですが、その中身は親しみやすく実用的。この「見た目は楽しい、使い方はシンプル」という組み合わせもエスカルゴの面白いところです。
エスカルゴならではの5つの魅力

エスカルゴの特徴をひと言で表すなら、「遊び心のある実用車」。
まず目を引く丸型ヘッドライトは、まるで笑っているような表情を作り出しています。そして側面にはトレードマークともいえる丸窓。背の高いルーフによって、コンパクトな外寸から想像する以上に開放的な雰囲気を持っています。
街中に自然と溶け込みながらも、決してほかのクルマには埋もれないデザインも魅力です。
後部には荷物を載せられるスペースが確保され、買い物など日常的な用途にも対応。かわいらしいだけではなく、きちんと「使えるクルマ」として考えられているところがポイントです。
エスカルゴが生まれた1989年の日本

1989年は、日本にとって大きな節目の年でした。
昭和から平成へと元号が変わり、新しい時代がスタート。一方、街にはバブル景気の華やかな空気が広がり、ファッションや音楽、クルマにも個性的なものが次々と登場していました。
消費税3%が導入されたのも1989年です。
音楽ではカセットテープとCDが共存し、街では肩パッドを強調したファッションなど当時ならではのスタイルが流行。東京ドームをはじめとする新しい都市文化も、人々の日常へ定着していきました。
高級車やスポーツカーが脚光を浴びる一方で、エスカルゴのようにデザインそのものを楽しむクルマが登場したことも、この時代の面白さを象徴しています。
1989年のアメリカ――80年代カルチャーの余韻

海の向こうのアメリカでも、1989年は80年代らしいカルチャーが色濃く残る時代でした。
街にはネオンが輝き、ダイナー文化や大型ラジカセ、カセットテープ、VHSなどが日常の風景に。スポーツやスニーカーファッションなど、後の時代にも大きな影響を残す文化が若者を中心に広がっていました。
映画、音楽、スポーツ、ファッション。さまざまなジャンルが混ざり合い、大衆文化がますます豊かになっていった時代です。
日本ではエスカルゴのような個性的なクルマが生まれ、アメリカでは独自のポップカルチャーが街を彩っていた1989年。振り返ってみると、世界中が「新しい楽しさ」を探していた時代だったのかもしれません。
街がおもしろくなる。それがエスカルゴ
日産 エスカルゴは、速さや豪華さを競うクルマではありません。
それでも、丸いヘッドライトと丸窓を備えた独特の姿には、現在のクルマとは違う強烈な魅力があります。
実用車に少しのユーモアを加えるだけで、クルマはこんなにも楽しい存在になる。エスカルゴは、そのことを教えてくれる一台です。
「街がおもしろくなる。」
その言葉どおり、停まっているだけで街の景色を少し楽しくしてくれる。1989年式 日産 エスカルゴ G20は、日産が遊び心を本気で形にした、忘れがたい個性派モデルです。

