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トヨペット クラウン RS31型|観音開きに時代の夢を乗せた1960年の高級車

トヨペット クラウン RS31型とは

1960年型のトヨペット クラウン RS31型は、日本の道が大きく変わりはじめた時代に登場した高級乗用車です。

まだ道路も街並みも、今ほど整っていなかった時代。
それでも人々の暮らしは少しずつ豊かになり、クルマは単なる移動手段から、家族の憧れや社会の象徴へと変わっていきました。

RS31型クラウンには、そんな時代の空気がよく似合います。
黒いボディ、丸いヘッドライト、重厚なメッキ、そしてどこか誇らしげなフロントマスク。
派手ではないのに、前に立つと自然と背筋が伸びるような一台です。

【1/8 表紙・主役紹介】

上品さは、線に出る

クラウン RS31型の魅力は、車体の線にあります。

丸みを帯びたフロントまわり、伸びやかなサイドライン、控えめながら存在感のあるリアまわり。
どこかアメリカ車の影響を感じさせつつも、日本の高級車としての落ち着きが残されています。

この時代のクルマは、今の車のように空力を最優先した形ではありません。
そのかわり、フェンダー、窓枠、メッキモール、ランプの造形に、ひとつひとつ意味があるように見えます。

クラウン RS31型は、強く主張するというより、静かに品格を漂わせるタイプの車です。

工夫は、さりげなく隠れている

RS31型クラウンで外せない特徴が、観音開き4ドアです。

前後のドアが向かい合うように開くことで、乗り降りのしやすさと、独特の格式が生まれています。
ただ便利なだけではなく、ドアを開いた姿そのものに絵になる美しさがあります。

もうひとつ面白いのが、リアランプの中に隠された給油口です。
外から見える場所に給油口を置かず、リアランプの一部を開いて給油するという仕組み。
これはまさに、美しさと実用を両立させた時代の工夫です。

こういう細部にこそ、昔の車の浪漫があります。

ひろびろ、やわらかく迎える室内

室内に目を移すと、RS31型クラウンはまた違った表情を見せます。

ベンチシート、細いステアリング、淡いミント系のダッシュボード、そして赤い足元。
現代の車とは違い、機械に囲まれているというより、部屋の中に迎え入れられるような空気があります。

前席はゆったりとしていて、コラムシフトによって足元にも余裕があります。
後席も家族や仲間と一緒に座ることを前提にした、広がりのある空間です。

この室内には、単なる移動ではなく、家族で出かける時間そのものが詰まっているように感じます。

ベンチシート、赤い足元、やさしいドアトリム。

実用のための、ていねいな機械

RS31型クラウンは、見た目だけの車ではありません。

1900ccの直列4気筒OHVエンジンを搭載し、当時の日本の道路事情の中で、力強く、なめらかに走ることを目指した高級車でした。

メカニズムは現代の車と比べればシンプルです。
けれど、そのぶん部品の存在感があり、エンジンルームを眺めるだけでも「機械としての車」を強く感じられます。

大きなハンドル、整った計器まわり、クラシックなホイール。
どれも実用のために作られていながら、今見ると立派なデザインの一部になっています

1900cc直列4気筒OHV。実用のための、ていねいな機械。

道が伸び、くらしが変わる

1960年から1962年頃の日本は、高度経済成長のただ中にありました。

国民所得倍増計画が動き出し、道路や橋、都市のインフラが整えられていきます。
国道沿いにはガソリンスタンドや食堂、企業看板が増え、街は少しずつクルマ社会へ向かっていました。

一方で、道路にはまだ土埃が舞い、オート三輪やバス、荷車も現役でした。
新しいものと古いものが同じ道を走っていた時代です。

そんな風景の中にクラウン RS31型を置くと、とてもよく映えます。
それは単なる高級車ではなく、これからの日本を走る車だったからです。

高度経済成長期の日本。道が伸び、くらしが変わる。

海の向こうも、クルマで輝く

同じころ、海の向こうのアメリカでは、車はまさに夢の象徴でした。

ドライブインシアター、ファストフード、ネオン、テールフィンの高級車。
テレビには『トワイライト・ゾーン』のような番組が流れ、少女たちは着せ替え人形に憧れました。

1960年代初頭のアメリカは、日本から見ればまさに夢の国のような存在だったはずです。
大きく、長く、きらびやかなアメリカの高級車は、当時の豊かさや自由の象徴でした。

クラウン RS31型を考えるとき、この海外の空気も無視できません。
日本の高級車は、日本の道に合わせて育ちながらも、世界の自動車文化の夢をどこかで見つめていたように思えます。

ドライブインシアターとアメリカ高級車。海の向こうの夢。

今なら、こんな遊び方

もし今、クラウン RS31型を自由に楽しむなら、ホットロッド風のカスタムもよく似合います。

低く構えた車高、クラシックなカスタムホイール、控えめなフレイムス、黄色いフォグランプ。
本来の上品さを壊さずに、少しだけ遊び心を足す。

この車は、派手に改造しなくても十分に存在感があります。
だからこそ、手を入れるなら「品のよさを残す」ことが大切です。

古い車は、ただ保存するだけのものではありません。
時代を越えて、見る人や乗る人の想像力を動かす存在です。

クラウン RS31型は、今見ても気品が色あせない一台です。

ホットロッド風カスタム。今見ても気品は色あせない。

まとめ

トヨペット クラウン RS31型は、1960年代初頭の日本が夢見た高級車のひとつです。

観音開き4ドア、リアランプに隠された給油口、上品なフロントマスク、広い室内。
どれも今の車には少ない、時代の工夫と誇りを感じさせます。

この車を見ていると、当時の日本がただ便利な車を作ろうとしていたのではなく、
「これからの暮らしを少し豊かにしたい」と考えていたことが伝わってきます。

古いけれど、古びていない。
静かだけれど、強い存在感がある。
それが、トヨペット クラウン RS31型の魅力です。

この記事の画像について

この記事で使用している画像は、造形浪漫帖の図鑑ページとして制作したオリジナルのイラストです。

実車資料を参考にしながら、トヨペット クラウン RS31型の造形、観音開き4ドア、リアランプ内蔵の給油口、内装、当時の街並みなどを、手書き風・図鑑風・歴史絵巻風に再構成しています。

造形浪漫帖では、車そのものの形だけでなく、
その車が走っていた時代の空気も一緒に描くことを大切にしています。

今回のRS31型クラウンでは、1960年代初頭の日本の高度経済成長期、国道沿いの風景、当時の暮らし、そして海の向こうのアメリカにあったクルマ文化の夢も含めて、8枚のビジュアルで構成しました。

実車写真そのものではなく、
「昔の車を今の目で見たら、こんなに新しく、浪漫がある」
という視点で楽しんでいただければうれしいです。

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