1983年式 日産 フェアレディZ Z31|較べることの無意味さを教えてくれる、未来派グランドツアラー

1983年に登場した3代目フェアレディZ、Z31型。
長いノーズと低く構えたウェッジシェイプ、鋭いポップアップライト、そして日本車離れした堂々たるスタイル。従来のスポーツカーらしさを受け継ぎながら、快適性や先進装備を取り入れた、新しい時代のグランドツアラーとして誕生しました。
今回紹介するのは、300ZX 2シーター・Tバールーフ仕様。右ハンドルのコックピットに5速マニュアルトランスミッションを組み合わせ、力強いV6ターボの走りを楽しめる一台です。

「Z」であることを、ひと目で伝えるスタイル
Z31の外観を印象づけるのは、低く長く伸びたノーズと、後方へ向かってなだらかに流れるルーフラインです。
直線を基調としたボディには、1980年代らしい未来感が漂います。それでいて、フロントからリアまで一本の流れでまとめられた姿には、歴代フェアレディZから続くスポーツカーらしい緊張感もしっかり残されています。
フロントマスクは薄くシャープで、格納式のポップアップライトによって、消灯時にはすっきりとした表情を見せます。正面、斜め、後ろ姿のどこから眺めても、ひと目でZと分かる個性を備えたデザインです。

ロングノーズと鋭いウェッジシェイプ
横から見ると、Z31のプロポーションの美しさがより明確になります。
前方へ長く伸びたボンネット、短く引き締まったキャビン、そして後方へ流れるファストバックスタイル。車高を低く見せるブラックのサイドモールも、白いボディを引き締める重要なアクセントです。
Tバールーフは、屋根の左右を取り外すことで開放感を楽しめる装備です。クーペらしいボディ剛性感やスタイルを残しながら、オープンカーに近い空気感も味わえるところが、この時代ならではの魅力でした。
純正アルミホイールは派手すぎず、シャープなボディデザインによく似合います。細部まで含めて、1980年代の高性能スポーツカーらしい雰囲気にまとめられています。

横一文字のテールが生む、印象的な後ろ姿
Z31は、リアデザインにも強い個性があります。
左右のテールランプを横方向に大きく見せる構成と、その中央に置かれた「TURBO」の文字。低くワイドに構えた姿が強調され、前から見たときとは違う重厚感を感じさせます。
リアウインドーにはワイパーが備わり、実用性も確保。左側のV6バッジは、新世代のエンジンを搭載したZであることをさりげなく主張しています。
斜め後方から眺めると、厚みのあるリアフェンダーや大きなハッチゲート、ダブルのマフラーエンドが目に入ります。派手な装飾ではなく、面と線の組み合わせによって速さを表現した、堂々たる後ろ姿です。

ドライバーを中心にまとめたコックピット
室内に入ると、外観と同じく1980年代らしい直線的なデザインが広がります。
右ハンドルの運転席を中心に、メーターやスイッチ類を集約。ステアリングの周囲にも操作スイッチが配置され、手を大きく動かさずに各機能を扱えるよう工夫されています。
メーターパネルには、大きな速度計と回転計を配置。その両側に燃料計や水温計を置いた、視認性を重視したレイアウトです。オレンジ色の目盛りと表示が、夜間には独特の雰囲気を生み出します。
センターコンソールにはオーディオや空調操作部、その下には5速MTのシフトレバーを配置。長く伸びたコンソールと低い着座位置によって、包み込まれるようなスポーツカーらしい運転感覚を味わえます。

V6ターボと5速MTが生む、力強い走り
Z31は、フェアレディZとして初めてV型6気筒エンジンを採用した世代です。
300ZXには3.0リッターV6ターボエンジンが搭載され、低回転から余裕のある力強さを発揮。アクセルを踏み込めばターボらしい加速感を見せながら、高速道路ではゆったりと巡航できる懐の深さも備えていました。
5速マニュアルトランスミッションを操作し、自分の意思でエンジンの力を引き出していく感覚は、この仕様ならではの魅力です。
ポップアップライト、Tバールーフ、純正アルミホイールといった装備も、単なる飾りではありません。走り、デザイン、快適性を一台にまとめたZ31のキャラクターを形づくる、大切な要素となっています。

1983年の日本と、未来を感じさせたZ31
1983年の日本では、街にネオンが輝き、カセットテープや携帯型音楽プレーヤーが若者の生活に浸透していました。
ゲームセンターには大型筐体が並び、雑誌や情報誌から新しい音楽、ファッション、クルマの情報を得る時代。肩パッドを取り入れたジャケットや淡い色合いの服装など、都会的で華やかなスタイルも注目されていました。
そんな街の中を走るZ31は、当時の人々にとって未来から来たクルマのように映ったはずです。
低いボディ、格納式ライト、デジタル感のあるインテリア、そしてV6ターボ。1980年代の日本が抱いていた、技術と未来への期待をそのまま形にしたような存在でした。

アメリカのポップカルチャーとともに愛されたフェアレディZ
1983年のアメリカでは、ポップミュージック、映画、ファッション、ホームゲームなど、さまざまな大衆文化が勢いを増していました。
カセットを入れた大型ラジカセ、鮮やかなスポーツウェア、ローラースケート、仲間と遊ぶ家庭用ゲーム。明るく自由な雰囲気が、街や海辺にあふれていた時代です。
北米では「DATSUN/NISSAN 300ZX」として展開されたZ31も、こうした文化の中で人気を集めました。
長距離を快適に走れる性能と、目を引くスポーティーなスタイル。フェアレディZは単なる速いクルマではなく、自分らしい生活を楽しむための存在として、海の向こうでも受け入れられていったのです。
まとめ|スポーツカーの新しい価値を示した3代目Z
1983年式フェアレディZ Z31は、歴代Zのスポーツカーらしさに、先進性と快適性を加えた一台です。
鋭いウェッジシェイプ、ポップアップライト、Tバールーフ、ドライバー中心の室内、そして力強いV6ターボ。ひとつひとつの特徴が、1980年代という時代の高揚感を今に伝えています。
軽さだけでも、速さだけでも、高級感だけでも語れない。
さまざまな魅力を一台の中に共存させたZ31は、まさに「較べることの無意味さを教えてあげよう。」という言葉が似合う、独自の存在感を持ったフェアレディZです。

